2013年8月18日日曜日

もう街の本屋さんはいらないのでしょうか?(その2)

前回の記事を書いてから、かなり時間が経ってしまいました。

「もう街の本屋さんはいらないのでしょうか?(その1)」はこちらです。

前回は、減り続ける街の本屋さん。
その原因を、考えてみました。

そして今回のブログで考えてみたいことは、下記の通り・・。

もう街の本屋さんはいらないのでしょうか?

・・いえいえ、そんなことはありません。
おっと、返す刀で思わず結論を言ってしまいました。

これで文章を終えても何の面白みもありませんので、今から私なりに思うところを書いてみたいと思います。

まずは、街の本屋さんを分析してみます。
拙い分析ですが、お付き合いくださいませ。

在庫数では不利・・。

前回のブログで、こう書きました。

「在庫数でAmazonにも大型書店にも負けてしまう街の本屋は、
本当にひとたまりもない」

「在庫数」という切り口ですと、街の本屋さんは圧倒的に不利です。

Amazonには物理的に勝てませんし、当たり前ですが大型書店にも敵いません。

これはもう圧倒的に勝てない部分ですね・・。

むむむ。

提案力!

しかし、提案力という切り口ではどうでしょうか?


多くの場合、街の本屋さんの仕入れは少人数でしています。
店主が一括で請け負っていたり、数人で分担していたり。

元々、少人数ですから仕入れをしている人も限られてきます。
それに加えて、場所も広くないので品出しする棚も多くないです。

つまり、お店のスタッフに聞けば、どんな本がどこに入っているのかを把握していることが多いのです。


視点を変えると・・。

「なんか面白い本入りました?」という質問に対して、答えが返ってくる可能性が高いと言えます。

「最近面白い本が入荷しました。天文学の本なんですが、すごく簡単にほにゃらら・・」
・・といった具合です。

これすなわち、提案力です。

この点は、Amazonにも負けないはずです!

Amazonの提案力?

しかし、Amazonだって提案力はあります。

「〇〇を買った人は、〇〇も買っています」といったリコメンドがありますものね。

そうそう。

だから、街の本屋にも提案力がありますと言われても、「はあ?だから何ですか?」と言われてしまうかもしれません。

ここで、Amazonのリコメンドについて考えます。

Amazonのリコメンドは、世界で3億人近くいると言われるユーザーのネット上での行動履歴を元に作成されています。

詳しく説明すると「協調フィルタリング」という技術が使われています。

これは、wikipediaいわく。

多くのユーザの嗜好情報を蓄積し、あるユーザと嗜好の類似した他のユーザの情報を用いて自動的に推論を行う方法論である。趣味の似た人からの意見を参考にするという口コミの原理に例えられることが多い。』

・・とのこと。

つまり、Amazonのリコメンドは、今までのデータを参照して「あなたみたいな人だったら、きっとこの本も好きですよ。」といった推測と言えます。

ですので、天気予報に近いと言えるかもしれません。

「この空の様子だと、きっと明日は雨が降りますよ。」といった具合です。

街の本屋さんの提案力

一方、街の本屋さんのリコメンドは当然ですが、スタッフが直接します。

スタッフはあなたが過去に買った膨大の本のことは、ほとんど知りません。

しかも、スタッフの脳内にある本の量はAmazonのそれに比べたら少ないでしょう。


加えて、あなたが読みたいであろう本が、彼(ないしは彼女)の脳内に、

必ずしもあるかなんてことは、誰も知り得ません。

確率の問題で言ったら、Amazonのリコメンドには敵わない気さえしてきました。

しかし、私は言いたいのです。

街の本屋さんのリコメンドには、Amazonのリコメンドには到底敵わない点があると。

それは、「人がするリコメンドである。」といった点です。

それ以上でも、それ以下でもありません。

人が薦めるから、そこにはストーリーが生まれます。

人が薦めるから、そこには感情が生まれます。

人が薦めるから、そこには愛着が生まれます。

いくらAmazonのリコメンドがデータの最適化を経て、
ますます人々のニーズに深く突き刺さるようになっても、
人から人に本を薦める街の本屋のワンシーンには、
Amazonには敵わない力があると思うのです。

街の本屋さんはいらないのでしょうか?

この問いに私は、「ますます必要になる」とまで言ってしまいたいです。

ますます便利になっていく世の中で、これから人々が本当に必要とするのは、

すぐにモノが手に入る利便性よりも、人の感情があってストーリーがある。
感情があって、愛着がある。そんな柔らかい要素であるような気がするからです。


今後は、生き残りを懸けて街の本屋さんも、どんどんと形を変えていくと思います。

いかに「提案力」を高めて、顧客を飽きさせない場所にするか?がポイントとなってくるかもしれません。

街の本屋さんが減っていく現状は切ないですが、生まれ変わって行く本屋に今後も注目していきたいと思います。

ご一読、ありがとうございました。

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