2013年7月21日日曜日

夏の夜

夏の夜が好きだ。

季節の匂いはいろいろあるけれど、夏の夜にかぐ何とも言えないあの匂いが好きだ。

今日、環八通り沿いを歩いた。

まだ少し明るい夜の街を、車のテールライトが柔く照らしていた。

僕はふと感じた夏の夜の匂いに、いつかのワンシーンを思い出そうとした。

でも、僕の記憶からは特定のシーンは浮かんでこなかった。


雲を掴むようにして僕は、記憶の海から現実に引き戻されて、漂って、漂った。

夏の夜が好きだ。

きっと、昔から好きだった。

小さな子どもが母親の手に引かれて歩くのと、すれ違った。

僕は少し平和的に微笑んで、止まらずに歩くのだった。

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